目次
職場の人間関係が原因で仕事を辞めた人はどのぐらいいる?
職場の人間関係——。
働く人にとって永遠のテーマと言ってもいいほど、仕事上の悩みになりやすい課題です。
実際、人間関係が原因で仕事を辞めた人はどのぐらいいるのでしょうか。
厚生労働省の調査によれば、定年退職や会社都合、出向などその他の理由で退職した人を除いた場合、人間関係が原因で辞めた人の割合は、男性の退職理由の第3位、女性の退職理由の第2位となっています。
職場の付き合いづらい・やっかいな人の特徴
そもそも、職場がみんなごく普通の人だったとしたら、人間関係で悩むことはほとんどなくなるでしょう。
問題になるのは、いわゆるクセの強い人・性格に難ありのタイプです。
職場の付き合いづらい・やっかいな人には、たいてい共通した特徴があります。
何でも「自分が・自分が」タイプ
とにかく我が強いのがこのタイプ。
何に対しても自分が一番でなくては気が済まないので、新人やおとなしい性格の人がターゲットにされがちです。
もちろん昇進や上司の評価も自分が一番でないと気に食わないので、仕事ができる人がいじめの標的にされて辞めていく・・・、などという悲劇も起こりやすくなります。
いつでも自分が正しいと信じている
自分のことを頭がいいと思っているタイプです。
いつでも自分が最も正しいと信じ込んでいるので、異論を認めず、人の失敗や欠点に厳しくなりがちです。
なるべく逆らわないようにしていても、神経を逆撫でしてしまったら最後。
陰湿ないじめの標的にされてしまうこともあり得るやっかいなタイプです。
誰に対してもマウントを取りたがる
ちょっとした打ち合わせ1つ取っても、自分の意見が通らないとすぐ不機嫌になるタイプです。
人間関係を常に上下の関係で見ているため、自分より良い立場にいると判断されてしまうと、意地でも引きずり下ろそうと必死に足を引っぱってきます。
仕事上のことだけでなく、家庭生活が幸せそうだとか、子どもの学業成績が良い、などといったことも嫉妬の原因になったりするので非常に面倒です。
陰湿な嫌がらせを考えるのが特技
よくそんなことを考え続けられるものだ、と逆に感心してしまうほど、人を陰湿にいじめる方法ばかり考えているタイプです。
根も葉もないうわさを流したり、人の外見や身につけているものについて品評したりと、気に入らない相手を貶めるためなら手段を選ばないため非常にやっかいです。
敵に回すと面倒なので、案外まわりに味方が複数いるなど、扱いに困るのがこのタイプです。
なぜか上司には気に入られている
役員や管理職など、社内の有力者からは気に入られている人が多いのも面倒なポイントです。
同僚に対して見せる顔と、上役に対して見せる顔が全くちがうため、偉い人からすると「すばらしい人」「いつもニコニコしていて感じがいい」などと、良い評判を聞いたりすることさえあるでしょう。
このタイプに嫌われると、自分に非がなくても悪者にされてしまうことがありますので要注意です。
嫌いな人の存在がストレスになってしまう原因
まだ相手に期待している部分があるから
嫌いな相手がいることでストレスを抱えてしまうのは、実は心のどこかでまだ相手に対して「期待」しているところがあるからかもしれません。
「いつか自分のことを理解してくれるのでは?」「そのうち心を開いてくれるかもしれない」などと考える人がいますが、こうした考え方はかえって逆効果です。
嫌い・苦手な人は、誰にでも一定数いるものです。
へんに好かれようとか、理解されようとするのはきっぱりとあきらめたほうが、ストレスから解放されやすくなります。
嫌いな相手の言動を理解しようとしているから
たとえば、嫌味を言ってくる相手に対して「どうしてそんなことを言うのだろう?」などと考えてしまっていませんか?
あなたのことを嫌ってくる人は、ほぼ100%とくに理由もなく嫌っています。
何かを改善すれば嫌うのをやめてくれる、ということは残念ながらほぼ確実にないのです。
相手を理解しようと努力すればするほど、これからもストレスを抱え続けることになってしまいます。
実は嫌いな人が自分のストレスのはけ口になっているから
嫌いな人のことを、四六時中考え続けていたりしませんか?
「こういうところが嫌い」「どうしてあんな人が会社にいるのだろう?」などと悶々と考え続けることが、実は自分のストレスのはけ口になっていないでしょうか。
実は、嫌いな人のことを考えていると、脳はまるで自分自身が批判されているように感じてダメージを受けてしまいます。
嫌いな人のことを考えているうちに、自分が病んでしまいやすいのはこのためなのです。
嫌いな人と関わりたくない人のための5つの質問
嫌いな人に対処する最も効果的な方法は、「関わらないようにする」ことです。
しかし、同じ職場にいる以上は毎日どこかで顔を合わせることになります。
そこで、たとえ顔を合わせていても内心では「関係ない人」と割り切れるように、まずは自分のメンタルを変革していきましょう。
次の5つの質問を自問自答してみてください。
- 嫌いな相手とあなたは同じタイプの人間ですか?
- 嫌いな相手が何を考えているのか心から知りたいですか?
- 嫌いな相手にあなたの考えや思いを知ってもらいたいですか?
- 嫌いな相手といつか分かり合って仲良くなりたいですか?
- 嫌いな相手のためにあなたの時間をムダにしたいですか?
自問自答するときのコツは、「無心に問いかけて、強くNOと言う」ことです。
「あの人と私は同じタイプの人間だろうか?」→「いいえ、全然、全くちがう。完全に別の人間だ」と強く念じるのです。
これを何度か繰り返しているうちに、一種の自己催眠に近い効果が得られるようになり、少しずつ「関係ない人」という心の中でのスタンスが固定化されていきます。
嫌いな人と同じ職場で働く場合の考え方
さて、いよいよ実践的な話に入りましょう。
内心ではもう「関係のない人」と決めていても、毎日職場で顔を合わせなくてはならない事実は変わりません。
では、目の前に嫌いな相手がいたとしても気に留めずに過ごしていくには、どうしたらいいのでしょうか。
具体的には、次の対応を常に心がけるようにしてください。
事務的な対応を基本スタイルに
嫌いな相手には、事務的でテンプレート化された対応しかしないと徹底します。
基本は「はい」「わかりました」「そうですか」など、ドライで短い返事だけします。
話しかけられても自分から中身のある話をせず、「そうですね」「ええ・・・」といった、気持ちの入っていない乾いた返答に徹するのです。
これを繰り返しているうちに、「同じような反応しか返ってこなくてつまらない」と感じてくれるようになるからです。
相手の考えや行動の理由を理解しようとしない
嫌味を言われたり、攻撃的な言動をされるなど、実害がある場合に有効な方法です。
「どうしてそんなことを言うのだろう?」「私に何かいけないところがあるのでは?」などと、いちいち考えないようにしましょう。
その手の人は、ほとんど習慣のように嫌味や威圧的な言動をしてしまうものです。
発言の1つ1つにとくに意味はなく、呼吸をするように変なことを言ってしまう残念な人なのです。
なので、そんな人の発言や行動の理由を理解することに少しでもエネルギーを費やす必要はありません。
「何かノイズが聞こえてきた」といった程度にとらえ、放置しておきましょう。
自分の本心や感情を知ってほしいと思わない
あまりに理不尽なことを言われたりすると、どうしても反論したくなってしまうことがあります。
しかし、そういう相手はあなたのことを否定することを目的としていますので、言い方や伝え方を工夫すれば納得してくれるということはありません。
自分の本心や感情について分かってもらおうとせず、スルーを基本としましょう。
その人にあなたの気持ちを知ってもらわなくても、あなたはあなたです。
どうでもいい人のために貴重な人生の時間を費やさないようにすることが大切なのです。
感情が乱れそうになったら課題の分離を意識する
放置やスルーを基本のスタンスにするとはいえ、腹が立つことを言われて感情が乱れてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、アドラー心理学で言われている「課題の分離」を意識しましょう。
課題の分離とは、自分の課題と相手の課題は根本的に別のものという考え方です。
自分ではコントロールできないことをどうにかしようとしても、徒労に終わってしまうことがほとんどです。
そうであれば、「相手は相手」「自分は自分」と問題を切り分け、自分でコントロールできることに意識を向けたほうが人生にとって有益なのです。
嫌いな相手よりも幸せな気分で過ごすことを優先する
嫌がらせやいじめを受けた相手に対して、「いつか復讐してみせる」などと誓ってはいけません。
なぜなら、復讐心を持つこと自体、嫌いな相手のために貴重な時間やエネルギーを費やすことに他ならないからです。
もし最大の復讐をするのであれば、それは嫌いな相手とは無関係なところで幸せになることです。
嫌いな人がいつもイライラしている様子なら、あなた自身は幸せな気分で過ごせるように心がけてみましょう。
好きなことや趣味を見つけたり、心を許せる人を見つけて本音で話すなど、気持ちを穏やかにできる時間を持つことが大切です。
どうしても嫌いな人がいることは転職理由になる?
身近にいつも嫌いな人がいることは、ストレスを抱える重大な原因になります。
もしその状況を変えるために転職という選択をするのであれば、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
人間関係が理由の転職は敬遠されやすい
嫌いな人がいる環境で働いていくためにいろいろと手を尽くしたとしても、結果的に人間関係が原因で転職するのは敬遠される傾向があります。
どこの職場にもクセの強い人・性格的に問題のある人はいますので、転職先でも同じことで悩むのではないか?と思われがちだからです。
一般的に人間関係が理由で転職するのは印象が良くないということは、知っておく必要があります。
嫌いな人がいること以外に転職理由を見つける
転職という方法を取るのであれば、「嫌いな人がいる」こと以外にも転職理由を見つけておきましょう。
「そういえば、ここ数年は同じ仕事の繰り返しで成長につながるようなことがあまりなかった」と気づいたとしたら、自己成長できる環境に身を置きたい、という転職理由が見つかったことになります。
転職理由は1つでなくてもいいのです。
人間関係以外に転職したい理由が見つかれば、結果的に人間関係が原因で辞めたわけではない、と胸を張って伝えることができるはずです。
そもそも職場が自分に合っていない可能性も
いろいろな方法を試してみて、どうしても嫌いな人から逃れられないとしたら、その職場があなたに合っていない証拠かもしれません。
それほど気に病んでいる従業員がいるのに、上長や経営者は問題に気づかず放置しているのですから、あなたにとって職場そそのものの居心地がよくない可能性もあるのです。
思い切って環境を変えるために転職することも視野に入れて、今後の働き方を考えてみるのも1つの方法です。